• 洋酒・焼酎審査員

    025 住吉 祐一郎 2023-01-24

    バー ライカード オーナーバーテンダー/ウイスキージャーナリスト/竹鶴シニアアンバサダー

    オーディエンスも会場で参加するようなエンターテイメント性を打ち出せれば、より盛り上がるのでは

    福岡にある「バー・ライカード」のオーナーバーテンダーである住吉祐一郎さん。バー経営と並行して、蒸留所を取材し『ウイスキーガロア』などでリポート記事を執筆したり、ウイスキー関連書籍の翻訳なども手掛けている。TWSCには、2021年から洋酒・焼酎の両部門の審査員として参加している。
    ――― 2022年一次審査の感想をお聞かせください。

    リモート審査については自分のペース配分で行うことができるため、落ち着いて審査ができたと思います。またテイスティングのための環境を整えることができるのも良い点だったと思います。他の審査員の方々とディスカッションなどができなかったのは残念ですが、コロナ後の審査では、リモート審査と会場審査の両方のハイブリッド審査ができるようになることを希望します。

    ――― TWSCの審査員に選ばれて意識するようになったことや、実際の審査の際に心掛けた点があれば教えてください。

    普段の生活においても、香りや味について、さらに意識をするようになりました。実際の審査では、同じ時間帯に同じフライト数をこなし、前後の食事などは刺激物を取らずに同じものを取るようにして、体調管理には特に気をつけました。

    ――― 2022年受賞結果についての感想・意見をお聞かせください。

    絶対評価が行われている点が良いと思います。良いものは良いという評価に基づき、受賞ボトルが多いことは喜ばしいことだと思います。出品数がさらに増えて行くことを望みます。

    ――― 受賞ボトル、または審査を担当したボトルで印象に残ったボトルがあれば教えてください。

    ジャパニーズウイスキーでは「山崎」や「響」など、すでに定評のあるものへの評価が正しく成されていることを再認識しました。またSMWSのボトルなど、シングルカスクで個性のあるものや、カバランなど味わいのはっきりしたものへの評価が高いことも日本の洋酒専門家の嗜好を表しており、興味深いと思いました。今後出品数が増えるにつれ、その傾向がどのように変化していくのか気になるところです。
    ジンに関しては、今後TWSCを世界へ広めていくことを考えた場合、ロンドンドライジンとディスティルドジンのカテゴリー分けが必要ではないかと感じました。将来的にはジャパニーズクラフトジンの定義や基準などか必要になると思います。
    焼酎は、低度数帯と高度数帯に分けられたことが、より公平な審査を可能にしたと思います。食中酒としての焼酎の可能性と、高アルコール度数でより個性的な味わいの焼酎の可能性の追求は、伝統と革新の二面性を正しく評価しているのではないかと思います。

    ――― 過去のTWSC受賞結果をもとに企画したことがあれば教えてください。

    店舗では、受賞ボトルに表記を付けて、お客様に優先的にご説明するようにしました。またその際にTWSCについての説明なども加え、認識して頂けるようにしました。

    ――― TWSC2023に向けて期待・注目していることがあれば教えてください。

    コロナが落ち着けば、やはり審査会の開催を期待したいと思います。また可能であれば、最終審査はオーディエンスにも会場に足を運んで頂くようなエンターテイメント性を打ち出して行くことができれば、より盛り上がるのではないかと思います。
    そのためにも、出品企業や出品ボトルがさらに増えることを期待しています。

    ――― ジャパニーズウイスキー、スピリッツが盛り上がりを見せていますが、今の状況について感じることがあれば教えてください。

    盛り上がりを見せていることは大変喜ばしいことで大歓迎ですが、ウイスキーの国内需要は落ち着きを見せているため、今後どのようにこの盛り上がりを維持し定着させていくかを考えていかなければならないと感じています。その意味において、TWSCの発信は今後ますます重要になってくると思います。

    文=TWSC事務局

    住吉 祐一郎

    PROFILE

    1968年福岡県生まれ。オーストラリア国立マッコーリー大学政治学部卒。ウイスキージャーナリスト、バー ライカード オーナーバーテンダー。竹鶴シニアアンバサダー。ジャパニーズウイスキーストーリーズ実行委員長。

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