• TWSCの日々
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    東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)事務局からの最新情報、ちょっとした裏話などを、こちらのコーナーでお知らせします。
    酒類業界、バー業界、一般の皆様とともにTWSCを盛り上げていけるよう頑張ってまいります。

  • 2019/12/04

    TWSC実行委員のつぶやき~早川 健 委員~

    TWSC2020への期待


    ──TWSC実行委員 早川 健 氏


    プロフィール
     1959年広島県福山市生まれ。大阪大学工学部醗酵工学科、大学院で醸造・醗酵を学び、1983年にキリン・シーグラム株式会社に入社。2000年に富士御殿場蒸溜所のブレンド最高責任者(チーフブレンダー)となり、「富士山麓樽熟50°」「富士山麓シングルモルト 18年」等の開発を手がける。また御殿場工場におけるジン製品(「バーネットジン」やウオッカ製品(「ニコライウオッカ」等)の製造にも携わる。2015年麒麟麦酒を退職し、ウイスキー文化研究所の特別技術顧問に就任。


    (1)TWSC2019に参加して
     本年3月に開催された記念すべき第1回コンペティッションに、実行委員かつ審査員として参加させて頂いた事は大変光栄なことであり、また貴重な体験となりました。
     いうまでもなく、TWSCはウイスキー文化研究所創設以来の悲願であり、日本初の本格的なウイスキー&スピリッツのコンペティッションですが、ウイスキー文化研究所の若手メンバーがこの新たな課題に短期間に一致団結して対応し、成功に結び付けた事は賞賛に値することだと思います。
     また、審査員の立場としても、理想的な環境で、かつほぼ完璧な運営の基で、審査に 集中することができたことも素晴らしかったと考えます。
     2日間に渡って、約200名の全国から選び抜かれた審査員が真剣に取り組む審査当日の様子や後日開催された授賞パーティーの様子は、HPにも動画公開されているので、裏方の活躍も含め、是非ご覧いただきたいと思います。
     更に、ウイスキー製造技術者(ブレンダー)の立場として、このような本格的で世界に誇れるコンペがあるのは、求める香味品質がひとりよがりでなく、客観的に評価される機会として貴重であり、技量を磨く上でも大変有用な機会として、今後も長期に継続して開催されることを強く熱望するものです。

    (2)TWSCのユニークさ
    ここで改めて、TWSCの特徴を挙げると以下の3点になります。

     ◆審査員は、プロフェッショナルな日本人のみ
     ◆先入観排除を目的としたブラインド(銘柄非表示)評価
      (ボトル等、銘柄が推測できそうなものも完ぺきに隠匿)
     ◆公正維持のためのウイスキー文化研が中心の運営
      (特定の企業、団体からの影響排除)
     日本人のみの嗜好基準が基になりますが、多くの洋酒が販売され、それらの多様な中味に接することができる日本、特に東京という立地が十分生かされたコンペです。
     更に、日本人特有の嗜好の多様性や公正さが担保されているため、誕生間もないメーカーやこれまであまり知られていない小さなメーカーにも授賞のチャンスは十分 あり、高品質で革新的な商品を発掘し消費者にPRすることで、将来的な消費者の選択の幅を広げることも期待できます。

    (3)今後の課題
     既に対応されているものもありますが、課題として以下の4点を挙げたいと思います。

    ①「ジャパニーズウイスキー」の定義明確化
     次回2020に向けて、本年9月にTWSCとしての定義が公表されました。
     これに関して、いろいろなご意見はあろうかと思いますが、概ね好意的に評価されているのではないかと思われます。
     現在、検討されているウイスキー業界としての定義の発表が待たれるところですが、次回は、TWSC案に基づいたカテゴリー分けがなされることが決まっており 「ジャパニーズウイスキー」としての初授賞ウイスキーが楽しみです。

    ②知名度アップと権威付け
     TWSCは誕生したばかりで歴史も浅く、知名度、権威とも高いとはいえません。
     まずは、国内及び国際的な知名度を高め、出品メーカー数、出品本数を高めることが重要です。来年の東京オリンピック開催はその絶好のチャンスであり、 授賞国産商品は大いに国内、国外でアピールしてほしいと考えます。
     更に、2020では、日本の代表的な蒸留酒である本格焼酎・あわもりを対象にした 焼酎部門の審査も追加されますが、これも知名度向上に期待できると考えます。

    ③審査員のモチベーションアップ
     審査員の審査結果は、逆に審査員の審査能力の評価にもなります。審査員として毎年選ばれることはそれだけでも正確な審査をしているという証明になりますが、 将来的には、審査員としての参画年数や審査結果を基にした(おかしな審査をしなかったか等)審査員のランク制度(名誉審査員等の呼称も含め)を検討して も良いかもしれません。

    ④継続的な出品への刺激策
     毎年多くの出品があることが盛り上げりに重要と考えます。
     一度出品すると翌年以降同じ商品の出品がなされないことが危惧されるので、これについての配慮が必要と考えます。
     既に事務局に提案し現在検討してもらっていますが、今年で5回目の開催となる「全国梅酒品評会」という審査会では、「殿堂入り」(金賞3回受賞)という ユニークな制度があり、これを踏襲しても良いのではと考えています。

     最後に、「千里の道も一歩から」、「継続は力」という言葉もあるように今後10年20年と継続することが重要です。少しずつ改善しながら、知名度や権威を高めていき、ウイスキーのように熟成させて世界一のコンペを目指していきたいものです。
     皆さま方の暖かいご支援、ご指導の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

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