008 友田 晶子 2022-10-11
一般社団法人 SAKE女の会代表理事/シニアソムリエ/フェミナリーズ世界ワインコンクール名誉会長/「ウイスキーガロア」コラム担当
オペレーションは世界レベル。継続し、世界を代表する焼酎のコンペティションに
「『フェミナリーズ世界ワインコンクール』など、いくつかの世界的なコンペティションに携わっていますが、リモート審査を行っているのはTWSCだけです。コロナ禍においてリモート審査を導入しただけでなく、TWSCのオペレーションはきめ細やかで、世界的に見ても素晴らしいです。
2019年の初回からTWSCの実行委員・審査員として参加し、会場審査もリモート審査も経験しましたが、リモート審査は他の審査員の意見に惑わされず、集中して審査ができるので良いですね。コンペティションの中には、個人での審査後に、皆で話し合って点数を調整するものもありますが、個人的には各審査員の点数が尊重されるべきだと思います。ただし、審査員同士で意見交換できる場はあるといいなと思います。2022年からは審査員に、審査したボトルの銘柄に加え、同じフライトを担当した他の審査員の点数がフィードバックされるようになりました。他の審査員の視点を学べるので、とても興味深いです」
「TWSC2022は受賞率が全出品の約93%となり、過去4回の中で最も高い受賞率でした。その点に関しては実行委員の中でも話し合いが行われましたが、受賞率が高いか低いかだけを議論するのではなく、高いのであれば、最高金賞がいかに特別かをわかりやすく発信することが大切だと思います。例えば洋酒部門では519本の出品アイテムのうち、最高金賞は23本だけです。消費者においしいお酒を知っていただくのがコンペティションの目的でもあると思うので、消費者にわかりやすい見せ方をしていければ良いのではないでしょうか。
焼酎に関しては、2022年から26度以上と25度以下の部に分けたことで、低度数のアイテムが高度数のアイテムに埋もれず評価されるようになり、良かったと思います。焼酎というお酒の主流である25度のアイテムをきちんと評価していくことが、コンペティションとしては重要です。
また、受賞結果をオフィシャルガイドブックとしてまとめているのは、世界のコンペティションでも珍しいです。消費者の方にも参考になる内容ですし、もっと多くの方に手に取って頂けたら、出品者も嬉しいと思います」
「焼酎に関しては、世界的なコンペティションとして確立しているものはまだないので、TWSCの焼酎部門には期待しています。
TWSCは、日本で洋酒文化を牽引している審査員による蒸留酒の評価、という点に意義があると思います。TWSCの特徴がしっかりと伝われば、焼酎蔵にとっても魅力的なコンペティションだと感じてもらえるのでは。コンペティションも世界的に乱立しているので、TWSCの特徴を明確に打ち出していくことが重要です。
海外では蒸留酒を食中酒として飲む文化がないので、焼酎を飲むシチュエーションがないのです。アルコール度数を高めたり、カクテルに使いやすくするなどして、バーで飲めるようにする工夫が必要かもしれません。身体に優しいアルコールなので、うまく打ち出せれば、一気に普及する可能性を秘めていると思います。TWSCが、その後押しになると良いですね」
文=馬越ありさ
PROFILE
のべ12万人のきき酒師やワインソムリエを輩出し、あらゆるお酒に精通するトータル飲料コンサルタント。お酒と文化を愛する女性たちの協会、(一社)SAKE女の会の代表理事。ソムリエとして酒類業界に携わり、セミナーやイベント企画、コンサルティング、観光PR支援等を行う。田崎真也氏オーナー、ワインバー「アルファ」(銀座)代表。近著に「ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒」(あさ出版)。