017 鈴木 勝二 2022-11-29
Scotch Bar John O’Groatsオーナーバーテンダー/マスター・オブ・ウイスキー/『ウイスキーガロア』テイスター
1点の差の重みに、責任感と緊張感をもって審査を行いました
リモートでのブラインド審査も、回数を経験し、だいぶ慣れたように感じます。他者の言葉を聞かない状態での判定は不安を伴いますが、自身の経験を信じてやらせていただいています。今後はイベントをより盛り上げるため、審査員が集まっての審査会と並行してできると良いですね。
審査を行う際には、公平性を期すため、一日の限界量をふまえて審査します。経時による評価の変化もあり得るので、一度すべて採点を行い、更にもう一度、審査するアイテムに向かい合うようにしていました。
審査員としての正当な評価を消費者にお伝えして、業界全体の盛り上がりを肌で感じていただきたいという想いがあります。ある程度の水準以上の物が並ぶと、1点の差が重くなります。かなりの責任感と緊張感をもって判定させていただきました。
嘉之助のような新進気鋭の蒸留所や、ジョニーウォーカーのような老舗が上位に食い込むのはブラインドゆえの興味深い現象です。どちらにせよ現行商品でがんばっている所が脚光を浴びるのは喜ばしいこと。一般消費者が普段あまり目にすることがない商品などが今後注目されることになれば、それこそTWSCの意義ではないでしょうか。
ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティの「76.146」、「ダンカンテイラー レアレスト オブ ザ レア キンクレイス1969 35年」のように、出品者が勇気を持って一品物を出品するのは、次回以降へも期待が持てます。まだまだ世界にはすばらしい酒があると、一人でも多くの方に知っていただきたいですね。
今後ますますTWSCが注目を集めていく上で、出品ボトル、出品企業を増やすことと、基準点・基準ボトルをすり合わせ、審査員全員の精度を上げることは、消費者のためにもその年ごとに必要かと思います。
どんなジャンルでも、急激な盛り上がりは常に危険をはらんでいます。今までのようにウイスキーが投機目的にされず、愛ある提供者・消費者の元に安定供給される社会を望みます。
文=TWSC事務局
PROFILE
1969年福島県生まれ。埼玉県草加市にある「Scotch Bar John O’Groats」オーナーバーテンダー。バーには1,000本以上のウイスキーを揃えている。ウイスキーガロアテイスター。