010 リアム・マクナルティ 2022-10-21
「nomunication.jp」編集長
TWSCと焼酎が、世界での認知度を高めるには?
「フィードバックコメントを書く時はテイスティングノートにならないように、アロマ・フレーバー・バランス・フィニッシュのどこが良くて、もしくは物足りなくてこの点数になったのかを意識して書くようにしました。テイスティングノートとは違う形で消費者の参考になると思うので、出品者にフィードバックする以外に、TWSCのホームページで公開するなど、活用できると良いと思います」
「受賞ボトルの中では、「嘉之助2021ファーストエディション」に驚きました。樽熟成米焼酎「メローコヅル」で使用したアメリカンホワイトオークのリチャーカスク由来の風味が、甘みがあるだけではなく今までのウイスキーにはない風味で、非常においしかった。3年とは思えない熟成感もありました。結果は妥当だと思いますが、消費者にも納得感を抱いてもらえるような、分かりやすい発信が必要だと感じています。オフィシャルガイドブックには審査の透明性が丁寧に書かれていますが、そこまで深堀りしない一般の消費者にどう伝えていくかが課題ですね」
「海外のウイスキーファンの間では、World Whiskies Awards(WWA)やInternational Spirits Challenge (ISC)などは知っていても、TWSCを知らない人が多いのが現状です。英語版の手引きもありますが、コンペティションの概要や審査方法も英語で発信して欲しい。
また、海外のウイスキーファンは、コンペティションの受賞結果にあまり注目しなくなっています。受賞ボトルを飲みたいと思っても、生産量の少ない限定ボトルだと、酒販店で買ったり、バーで飲んだりできない状況が続いているからです。一般の消費者でも飲める定番アイテムを、もっと積極的に出品してもらえると、コンペティションの結果にも注目してもらえるようになるのではないでしょうか」
「焼酎は、商品名が蒸留している蒸留所名と違うので、海外の方は戸惑います。会社ごとの切り口で、展開している商品と受賞結果が見られると、理解しやすい。世界の他のスピリッツに比べ、原材料の風味の違いを楽しめるのが焼酎の魅力でもあるので、麦や米などの原材料別に受賞結果が見れても、面白いのではないでしょうか。TWSCも5回目を迎えるので、継続していることで蓄積されたデータを、様々な切り口で活用できると良いと思います。
海外の方は、現地のお酒のイベントで初めて焼酎を試すというパターンが多く、そこでおいしくないと、ずっと飲まなくなってしまいます。ウイスキーを初めて飲む人には、アイラモルトよりブレンデッドの方が飲みやすいように、海外の方が飲みやすい商品を提案できると良いですね。私も、以前は、原材料がウイスキーと同じなので麦焼酎が飲みやすいのではと思っていましたが、TWSCの受賞結果を見て、黒糖焼酎を飲むようになり、改めて海外の方には馴染みやすい味だと感じています」
「『TWSC大試飲会2022』(2022年10月23日開催)のようなイベントは、消費者目線のコンペティションというTWSCならではのイベントで、世界の他のコンペティションにはないので、とても楽しみにしています」
文=馬越ありさ
PROFILE
1984年米国デラウェア州生まれ。高校から日本語を学び、2001年に広島県に留学。大学卒業後、外資系投資銀行の東京オフィスに就職。神田のバーで蒸留酒とカクテルに出会い魅了され、それ以来東京の街を開拓。2016年に日本のバー・酒文化を英語で発信するウェブメディア「nomunication.jp」を立ち上げる。2019年よりウイスキー文化研究所と連携し、ジャパニーズウイスキーの定義・TWSCなどを海外に発信している。