2021-02-09
スコッチ【0065夜】イギリスでは朝食を3度食べろ!?~その②
イングリッシュ・ブレックファースト、スコティッシュ・ブレックファーストについて紹介しているが、ちょっと余談。以前ウェールズを取材していた時、北ウェールズのホテルで、朝食にハムエッグが出てきたことがある。ハムといっても、ハムステーキほどの厚さだったが、これがウェールズの朝食の伝統だと言われた。イングランドやスコットランドがベーコンなのに対して、ウェールズはハムだと。しかもイングランドでもスコットランドも、卵はフライ、ポーチ、スクランブルと料理法を注文できるが、ウェールズではハムに乗せるのはフライド(目玉焼)だけだと言われた。これって日本のハムエッグの原形か…。
さてスコットランドのキッパーズである。これはニシンの燻製で、ニシンは一尾丸ごと開きにしてある。かなり塩味が効いていて、日本人なら、ご飯と味噌汁が欲しくなるだろうが、もちろんスコットランドでは、これに薄切り、カリカリのトーストである。もともとニシンはスコットランドの重要な魚。塩漬けにして樽に詰め、かつては東欧やロシアに輸出した。しかし、スコットランド人がニシンを食べるのは朝食だけ。それも燻製キッパーズオンリー。夜にこのニシンが出てきたことは、一度も見たことがない。
それに対してハドックは近海のタラのことで、フィッシュ&チップスの原料となるコッド、真鱈とは違う。日本でいえばスケソウダラの類だろうか。これも軽く燻製か、あるいはポーチドで朝食の定番となっている。キッパーズに比べて上品で胃にも優しいので、注文する頻度としてはこちらのほうが多くなる。レモンが添えられていることが多いので、ギュッとしぼって食べれば絶品だ。
なかでもスコットランドのマレイ州、北海沿岸で獲れる通称フィンナンハドックが有名。これを使ったカレンスキンクという有名なスープ料理があるが、それは、またいつかの機会に。とにかくハドックはニシンと違って、朝食だけでなく夕食のメニューとなることも多い。肉に飽きたらトライしてみてほしい。
朝食のハドック(上)と夕食のハドック(下)。同じ料理でも、地域によって調理法や食べ方が若干異なっているのは興味深い…。 一覧ページに戻る