2022-07-02
スコッチ【0269夜】スコットランドはフランスに肩を並べるチーズ王国!?~その②
前回で紹介したチーズの他にもスコットランドにはたくさんの個性的なチーズがある。ジャージー種のミルクから作られるカマンベールに似たチーズがボンチェスター(Bonchester)で、イースト・フリースランド種の羊の乳から作られるチーズがケアンズモア(Cairnsmore)、山羊のミルクから作られるオークニー島産のチーズがレアオベル(Lairobell)である。
オークニー島は大小70あまりの島からなる諸島で、このレアオベルはシャピンジー島という小さな島だけで生産されているという。オークニー産のものとしてはオークニー・エクストラ・マチュアー・チェダー(Orkney Extra Mature Cheddar)も有名で、1996年には「ベスト・スコティッシュ・チーズ」にも選ばれている。
それ以外にもラナークブルー(Lanark Blue)、ゴーリー(Gowrie)、アイル・オブ・マル(Isle of Mull)、セント・アンドリュース(St. Andrews)、ビショップケネディ(Bishop Kennedy)、ガロウェイ・ゴート・ミルク・ジェム(Galloway Goat’s Milk Gems)、アランチーズなど数えだしたらキリがない。近年、急激にその数も種類も増えているのだ。
ラナークブルーは羊のミルクから作られるブルーチーズで、フランスのロックフォールのスコットランド版といえばいいだろうか。イギリスのチーズ品評会で数々のメダルに輝いた逸品でもある。アランチーズはアラン島で作られるチーズで、ヘブリディーズの島々には、それぞれ特産のチーズがある。かつてはアイラ島にもチーズ工房があり、アイラの牛のミルクを使って濃厚なチーズを作っていたが、現在は作っていない(会社そのものがづぶれてしまった)。ピートでスモークしたアイラのスモークチーズは日本でも人気があっただけに、残念な気がする。ビショップケネディはウォッシュチーズで、今はどうか分からないが、かつてはエドラダワーのシングルモルトで表面をウォッシュするという、贅沢なチーズとして話題になった。それもシェリー樽のエドラダワーである。
これらのスコットランド産チーズが、ほとんど日本に輸入されていないのは、残念と言うほかない。スコットランドに行ったら、ぜひ味わってほしいものだ。
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