2022-06-29
スコッチ【0266夜】スコットランドの国民的お菓子スコーン
アフタヌーンティーの定番として日本でもすっかりお馴染みとなったスコーンだが、これも、もともとはスコットランドの伝統菓子(料理)である。
スコーンの語源については2つの説があって、ひとつはゲール語の「sgonn」から来たとする説。スゴーンとは「塊」という意味である。もうひとつは古オランダ語、あるいは古ドイツ語で「上質のパン、白い菓子」を意味する「ショーン」(sheen)がなまってスコーンになったとする説である。
どちらにしろ相当昔からスコーンがスコットランドで焼かれていたことは、間違いないだろう。パースの近くにスクーン城という城があって、その城に置かれていたスクーンの石が語源だとする説もあるが、これは少し無理がある。スコーンとスクーンが「scone」と同じ綴りであるためそう言われたものだが、スクーンの石がスコーンの語源とは考えにくい。この石がスコットランド王家の戴冠用の石で、スコットランド独立の象徴といわれていることから、後の愛国者がそういう説を唱えたのだろうか。
それはともかく、スコーンはショートブレッドと同じで、かつてはオート麦の粉、大麦粉が使われていたが、現在はセルフライジング・フラワー(ふくらまし粉を混ぜてある小麦粉)を使うのが一般的。やはり古くはグリッドルと呼ぶ鉄板の上で焼かれていたが、今ではオーブンで焼くのが一般的だ。鉄板を使って焼いたスコーンは今でも「ドロップ・スコーン」、あるいは「ドロップド・スコーン」と呼ばれているのだとか。
日本ではプレーンなスコーンか、せいぜいレーズンを入れたスコーンしか知られていないが、スコットランドでは各家庭によってレシピも様々で、ソーダスコーン、トリークルスコーン(蜂蜜入りスコーン)、ジンジャースコーンなど、いくつもの種類がある。
スコットランドの子供たちが、学校の調理の時間で最初に習うのがこのスコーンとショートブレッドの作り方だというから、スコットランドの国民的なお菓子と言っていいだろう。
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