2022-06-25
スコッチ【0262夜】スコットランドのデザートの王様、マッカランクラナカン
スコットランドにはウイスキーを使ったデザートがたくさんある。意外に思われるかもしれないがスコッチ、それもシングルモルトには甘いデザートがよくあう。このクラナカンはハイランドの伝統料理で、デザートの代表格だ。
材料はホイップクリームとオート麦、蜂蜜、ラズベリーなどの新鮮な果物、そしてウイスキー。まずオート麦をフライパンなどでよくローストし、それを冷やしてから、クリーム、蜂蜜、ウイスキーとよく混ぜる。器にあらかじめ果物を盛りつけ、それをかけたら出来上がりという、いたってシンプルなデザートである。今はトッピングすることも多いが。
オート麦はポリッジ用オートミールでも代用できる。蜂蜜はハイランド産のヘザーハニーがベスト。果物はラズベリーやストロベリー、黒イチゴなどで、ベリー系以外の果物は使わない。本来のクラナカンは、果物を入れないシンプルなものだったという。
じつはスコットランドはベリー類の一大産地で、とくにラズベリーはイギリス国内生産の9割近くがスコットランド産である。クラナカンにこのラズベリーを入れるのは、栽培が盛んになった近年の流行である。
クラナカンは私の大好物のひとつだが、なかでもマッカラン蒸留所でいただいたクラナカンの味が、今でも忘れられない。もちろんウイスキーはマッカランの12年物か18年物。濃厚なシェリー風味がクリーム、蜂蜜、そしてオート麦と絶妙にからみあい、夢見心地にさせてくれるようなデザートであった。
なかに入れるウイスキーによって微妙に味が変わるのも、このクラナカンの面白いところ。マッカランを使った「マッカランクラナカン」は、今でもベストと信じて疑わないが、ただしこれも、お酒の弱い女性は要注意である。一人前(といってもスコットランドの一人前は日本の2~3倍ある)のクラナカンには、グラス半分くらいのたっぷりのウイスキーが入っているからだ。2018年の新マッカラン蒸留所のグランドオープンのイベントでは、スペインの三ツ星レストランのルカ3兄弟がメニューのすべてを考案していたが、デザートに出てきたのが、このマッカランクラナカンだった。
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