2022-06-20
スコッチ【0259夜】スコットランドの魚介類~その①
ハドックやキッパー、サーモン以外のスコットランドの魚介類についても紹介しておこう。まず淡水魚としてはブラウントラウトにシートラウト、そしてパイクなどがある。ブラウントラウト(鱒)は湖沼や河川などに棲息するマスで、あまりメニューに載せられることはない。サーモンにくらべてはるかに小型で、専門に獲る漁師もいないからだ。こればかりは釣り師に与えられた特権と言うしかなく、ムニエルや塩焼きにしたら絶品である。特にハイランドやヘブリディーズ諸島、オークニー諸島などに生息するブラウントラウトは、ピートの水に棲んでいるためか淡水魚特有の臭みがまったくなく、逆に香草のような芳ばしい薫りがある。思わずピートの恵みと叫びたくなる。アイラ島で自炊をしていた時に、釣ったブラウントラウトを塩焼きにしたことがあるが、淡水魚とは思えないほど美味だった。
シートラウトはこのブラウン鱒が海に下り、産卵のために戻ってきたもので、なかにはサケほどの大きさに成長するものもいる。肉質もサーモンとほとんど変わらず、サケより美味という人もいる。何度か釣ってこれも刺身、ムニエル、塩焼きにしたことがあるが、とにかく美味。ハイランド地方を旅すると、シートラウトのグリル、ムニエル、ポッテッドシートラウト、シートラウトサンドイッチといった料理に出会うことがある。サケよりも稀少価値のある魚なので、見かけたらぜひ試してみていただきたい。
パイクは川カマスのことで、パイク料理は湖水地方などが有名だが、スコットランドでもイングランドと国境を接するボーダーズ地方などでは、よく目にする。見ための恐ろしさと違って(ワニのような顔をしている)、白身の、じつに淡泊な魚で、クリームソースやフライなどがよく合う。
有数の漁場に恵まれたスコットランドは、海の幸の宝庫でもある。海水産の魚はハドックや鱈、カレイ、鮃目、鰊のほかに、サバ、イワシ、アンコウ(モンクフィッシュ)、大アナゴ(コンガーイール)、エイ(スケート)などがよく食される。海老はロブスターにラングスティーン(ヨーロッパアカザエビ)。貝類も豊富で主なものを挙げると、オイスター(カキ)、マッセルズ(ムール貝)、スカロップ(ホタテ貝)、コックルズ(トリ貝)、ウェルクス(バイ貝)などだ。もちろん、ストーンクラブなどのカニ類もたくさん獲れる。(つづく)
一覧ページに戻る