2022-06-19
スコッチ【0258夜】食通が世界一だと絶賛するスコットランドのスモークサーモン
スコットランド料理の王様は何かといったら、それはサーモン。サーモンにはサーモンステーキ、ポーチドサーモン(茹でただけのシンプルな料理)、ポッテッドサーモン(茹でて身をほぐしたサーモンとアンチョビ、ナツメグ、バターを混ぜポットに詰めてバターで表面を封印したもの)など、たくさんの料理があるが、スコットランドを有名にしているのは世界中のグルメをして「最高に美味!」と言わしめる、スモークサーモンの存在である。
まず、私たちが通常知っているサケと、スコットランド産サーモンとは種類が異なる。サケは大別すると太平洋サケ(パシフィックサーモン)と、大西洋サケ(アトランティックサーモン)の2種類に分けられる。新巻鮭でおなじみの日本のサケはシロザケという太平洋サケの一種で、この太平洋サケにはシロザケ、銀ザケ、紅ザケ、カラフトサケ(カラフトマス)、マスノスケ(キングサーモン)、サクラマスの6種がある。どれも幼少期を河川で過ごし、その後太平洋を回遊し、産卵のため母川に回帰し、一度の産卵で死んでしまうという、共通の性質を持っている。
それに対して大西洋サケはただ1種。学名でいえばサーモサラー(Salmo Salar)で、太平洋サケと大きく異なるのは、一度の産卵では死なないということ。河川と海洋を往き来し、何度も産卵する。スコットランドのサーモンは、この大西洋サケである。ただし漁獲される海域、国、地方によって個体差が激しく、同じ大西洋サケといっても味は千差万別だ。日本では大西洋サケというと、ノルウェー産サーモンが有名で、寿司ネタには欠かせないが、世界中のグルメがナンバーワンに推すのは、なんといってもスコットランド産サーモン。それもハイランド地方の河川に回帰する天然サーモンが一番である。
近年、養殖が盛んで、天然サーモンは地元のレストランなどに行かないと食べる機会がないが、ぜひスコットランドに行ったら天然ものを試していただきたい。スモーク材は、主にウイスキーの熟成に用いられた廃樽を使う。ウイスキーの樽はすべてオーク(コナラ属)で出来ていて、ウイスキーがタップリ浸み込んだこのスコッチの樽が、スコットランドのスモークサーモンをさらに特別なものにしているのだ。ヘブリディーズ諸島産の養殖サーモンも天然サーモンに劣らないので、これもお薦めだ。
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