2022-06-08
スコッチ【0247夜】タッティーブリー、ロイレン、そしてホッチポッチとは…
スコットランドは「スープの国」だと書いたが(0245)、さらにいくつかのスープを紹介。まずはタッティーブリー。タッティーとはジャガイモのことで、ジャガイモはスコットランド人の主食のひとつ。これもスープというよりはメインの一種で、骨付きのマトンとスライスしたジャガイモ、ニンジン、タマネギを一緒に煮込み、チャイブや塩、黒胡椒などで味付けをする。マトンをそのまま入れて出すところもあるが、通常これはダシを取るためで、スープ皿に取り分ける際に取り除くのが一般的だ。ジャガイモを使った料理はたくさんあるが、これはその代表格で、バターをたっぷり塗ったオーツケーキと、新鮮なミルクとともにいただくという。
ロレインスープのロレインとは「悲劇の女王」と言われたメアリー・スチュワートの母親の名前(マリー・ド・ロレーヌ、フランス人)である。メアリーは、王宮のしきたりを万事フランス風に改めたことでも有名で、そのメアリーが愛したのが母親の名前をつけたこのロレインスープだったという。
材料は鶏やウサギ、仔牛などの肉と、アーモンド、卵黄、パンのやわらかい部分、クリーム、レモンジュースなどで、最後にパセリを散らしていただく。これもレストランメニューとしてはあまり見かけないが、スコットランドのおもてなし料理としてたいへん人気が高いという。ほとんどの料理ブックにレシピが紹介されているから、伝統的な家庭料理と言っていいだろう。
ホッチポッチもレストランのメニューというより、家庭料理である。一度だけパブで食べたことがあるが、野菜たっぷりの素朴で美味しい料理だった。スコットランド料理を紹介したエナ・バクスターの『Scottish Cookbook』(Johnston & Bacon Books Ltd, 1988)には、私の家族のもっとも大好きなスープとして、そのレシピが紹介されている。
材料はマトンの首のところの骨付き肉、タマネギ、ニンジン、ターニップ、レタス、カリフラワー、グリーンピースやインゲン豆などで、家庭菜園で新鮮な豆が収穫される時季になると、どこの家庭でもホッチポッチを作るために肉屋に走るという。決め手は新鮮な豆類と野菜。
これは大麦やオート麦を入れないスコッチブロスと考えればわかりやすいかもしれない。別名ハーストブリー。ハーストとはゲール語で「ハーヴェスト」、収穫を意味する言葉だ。
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