2022-06-06
スコッチ【0245夜】コカリーキーとカレンスキンク
スコッチブロスに次いでよく知られるスープがコカリーキーだ。イギリス全土で作られていて、以前ウェールズを旅したときに、ウェールズの伝統料理だと教えられた記憶がある。しかし、もともとはスコットランドの伝統料理で、15世紀の料理ブックにも、そのレシピが紹介されているという。スコットランドの、言わばナショナルスープの1つだ。 コカリーキーは文字どおり、骨付きの鶏肉とリークと呼ばれる太いネギ(ポロネギ)を煮込んだもので、細かくきざんだベーコンをそれに加える。隠し味として重要なのがプルーン(干しプラム)である。ただしスープ皿に盛り分ける際に取り除くのが正しいとされる。味付けは塩・胡椒、他にパセリやタイム、月桂樹など。さらに少量の米を加えるところもある。とろとろに溶けたリークの甘みとベーコンの塩味、鶏肉のコクとプルーンの酸味が不思議と混ざりあい、思わず笑みがこぼれてしまう。イギリス中どこへ行っても、メニューでこれを見つけると迷わず注文する。私の大好物のひとつでもある。
もう1つ有名なスープがカレンスキンク。これはスープというより、どちらかというとシチューに近い。もともとは北海に面したマレイ湾一帯の伝統料理で、スキンクとはゲール語で「エッセンス」の意味だとか。魚介とミルクの旨みが凝縮された一品だ。材料はスモークしたハドック(鱈の一種)とタマネギ、ミルク、マッシュドポテト、バターなど。まずフライパンでバドックを湯通して、皮や骨などを丁寧に取り除く。次にこれを鍋に移しスープストックを加え、タマネギ、ミルク、マッシュドポテトと一緒に煮込む。このとき少量のバターを加えるとよいとされる。味付けは塩・胡椒のみ。
スモークドハドックはもともと塩味がきいていて、そのほのかな塩味と独特のスモーキーさにミルク、ポテトがマッチした、実に美味しい料理である。ハドックは、地元マレイ湾一帯で獲れる「フィンナン・ハドック」がベストとされる。アイラ島でコテージを借り、自炊していたときに実際に作ったことがあり、それ以来すっかりカレンスキンクのファンになった。どこにでもあるという料理ではないが、もしメニューで見かけたらぜひ試していただきたい。オークニー諸島では、これにスモークしたカキやトリ貝などを加え、「オークニーブリー」として出すところもあるという。
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