2022-06-02
スコッチ【0241夜】オートミールは馬の食べ物!?~その②
さて前回(0240)の続きだが、ロバート・バーンズがサミュエル・ジョンソンとボズウェルのやり取りを知らなかったはずがなく、バーンズも彼のやり方で、ジョンソン博士に一矢を報いたのだろう。今では栄養価にも優れ、健康にも良いということで、スコットランドばかりかイギリス全土で、このポリッジを朝食に出すところが増えている。日本でも、コロナ禍の中、オートミールを食べる人が増えたとも聞く。
ポリッジはスコットランドを代表する伝統料理なので、ハギスと同じように数々の「伝説」に彩られている。オートミールを鍋に入れて調理する場合は、右手で掻き回さないといけない、それも時計回りに掻き回すのが正しいやり方だとか。さらにこの際に使用する道具は木の棒でないとダメだとかなどだ。そのためにわざわざ木のスプーンのスプーン部分を切り取って、使ったりする者もいるという。
スコットランド人はポリッジのことを指すとき「イット」(it)とは言わず、必ず「ゼイ」(they)と複数形にするのも伝統である。もともと樺の木でできたお椀と、角製のスプーンでいただくのが正しいとされる。当然、地方ごとに作り方にもこだわりがあり、呼び方も様々である。ハイランド地方ではゲール語で「ブロチャン」という言い方もあるし、最北のシェットランド諸島では「ミルグエル」と言う。さらに「タータンブリー」と言っている地方もあるようだ。この「タータンブリー」は芽キャベツの茹で汁で特別にオートミールを煮たものだという。
かつてスコットランドではポリッジと一緒に「ポーター」や「スタウト」という黒ビールを飲む習慣があったというが、現在は、新鮮なミルク、塩、砂糖、蜂蜜などをお好みでかけて食べるのが一般的である。しかし個人的には、ミルクや砂糖、蜂蜜はどうもいただけない。どうしても日本のお粥のイメージがあり、塩だけで充分という気がする。ポリッジと、キッパーズがあれば、それだけで朝食は大満足だと思うのだが。
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