2022-05-29
アイリッシュ【0237夜】ジェムソンとコラボしたコークの名物パブ
アイルランド共和国第2の都市コークはリー川沿いに開けた街で、かつては“大西洋のベニス”と言われたほど、運河が街の中を縦横に走っていたという。一番の目抜き通りであるセント・パトリックス通りもかつては運河で、今でも古い建物の外壁には舟をもやう鉄の杭が残っている。そのリー川の左岸、ノースモールにあるのが「フランシスカン・ウェル」というブリューパブで、その名のとおり、もとはフランシスコ修道会の修道院があった場所だった。
フランシスコ修道会の僧はビール造りの名手でもあり、実際修道院が建てられた1219年から1715年まで、ここでビールが造られていたという。彼らが利用したのが、ここに湧く天然の良水。ウェルというのは井戸のことで、修道院がなくなった後も、街の人々はこの井戸水を利用してきた。その跡地に今から30年近く前にオープンしたのが、「フランシスカン・ウェル」というブリューパブである。
ここの売りは、昔ながらのその水で醸すクラフトビールで、すでに数々の賞を受賞している。さらにウイスキーファンの間で一躍有名になったのが、ジェムソンと組んで「ジェムソン・カスクメイツ」という製品を世に送り出したことだ。まずジェムソンの熟成に使われたバーボンバレルがフランシスカン・ウェルに運び込まれ、その空樽にペールエールやスタウト、IPAなどが詰められ数ヵ月間の熟成が施される。パブではそのカスクエールが目玉の1つとなっているが、熟成が終わった樽は再びジェムソン(ミドルトン蒸留所)にもどされ、今度はジェムソンの後熟がその樽で行われるのだ。
フランシスカン・ウェルではビール造りの見学もできるし、もちろん各種のクラフトビールを飲むこともできる。さらに広いテラスレストランでは、もう1つの名物、薪のピザ釜で焼いた本格的なナポリピザも味わうことができる。ナポリピザはコークの名物の1つで、特にフランシスカン・ウェルのピザはアイルランドいちとの評判だ。
一覧ページに戻る