2022-05-14
スコッチ【0222夜】知られざるホワイトホース物語~その③ 日本限定のボトルとは
ホワイトホースのキーモルトの1つはラガヴーリンと前述したが、ラガヴーリンは、スモーキーでピーティ。これほどクセのあるモルトをブレンドの中核にしているのは珍しい。味わいのバランスをとるのが難しくなるからだ。ただ、それを絶妙にブレンドしているのがホワイトホースのすごいところ。クレイゲラキのスイートでフルーティなモルト原酒と、グレンエルギンのハチミツのような甘さが特徴のモルト原酒。この2つをラガヴーリンと組み合わせることで、それぞれのよさを引き立たせているのだろうか。
クレイゲラキは、ホワイトホースの原酒をつくるためにピーターが建てた蒸留所で、原酒をつくるために蒸留所を新設するほど、彼はウイスキーづくりに情熱を注いでいた。その甲斐あって、ホワイトホースは1908年の国際大会でグランプリを受賞。同年、王室御用達の栄誉にも浴している。ホワイトホースは現在、ラガヴーリン、グレンエルギンを含め30種以上のモルト原酒とグレーン原酒がブレンドされていて、スムーズでスイート、それでいてピート香が感じられる上質な味わいは、昔も今も、世界中の人々を魅了してやまない。
日本も例外ではなく、戦前の1930年代には、銀座のカフェなどでホワイトホースが提供されていたというし、今、日本では「ホワイトホース ファインオールド」と「ホワイトホース12年」が販売されているが、後者の12年は日本市場の限定品だ。ホワイトホースと日本には、昔から特別なつながりがあったようで、今でもブレンデッドスコッチとしては日本ナンバーワンの売上げを誇っている。
ホワイトホースは、スコットランドの人々にとって自由と独立、そして旅立ちを想起させるブランド。戦前の日本人にとっては、遠く海外から運ばれてきた、モダンで憧れの酒だったに違いない。さらにスコットランドでは、白馬は古くから神聖視され、勝利の象徴と考えられてきた。志を同じくする仲間と語らうとき、新しいスタートを切るとき、成功や勝利を祈願するとき…、ホワイトホースで乾杯すれば、すべてがウマくいくかもしれない…。そんなところも、日本人に受けている理由かもしれない。
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