2022-05-05
スコッチ【0213夜】ラフロイグ中興の祖、ベッシー・ウィリアムソン物語~その②
ラフロイグ蒸留所と、ベッシー・ウィリアムソンについては前述したが(0212)、彼女が「アイラモルトをアメリカに広めた立役者」と言われたのは、自分がオーナーを務めるラフロイグだけでなく、アイラの全蒸留所の“アメリカ特使”として、1960年から64年にかけて精力的に全米各地を回り、アイラモルトをプロモートしたからである。もちろん、「ラフロイグ中興の祖」、「ラフロイグのファーストレディ」として、数々の改革も断行し、ラフロイグ発展の礎をつくった。伝統的なフロアモルティングを残すこと、そして熟成にはアメリカンホワイトオークのバーボンバレルしか使わないと決めたのも、ベッシー・ウィリアムソンだったという。これは今も変わらぬラフロイグのポリシーの1つとなっている。
ベッシーは1972年にリタイアした後もアイラ島に住み続け、82年に71 歳で亡くなっている。22歳の時に、3ヵ月の契約でアイラ島にやってきたベッシーは、その後の半世紀をラフロイグで過ごすことになったのだから、人生何が起きるかわからない。彼女の墓は、生涯をかけて愛したラフロイグ蒸留所を見おろす湾の高台に、ひっそりと建っている。
そのベッシー・ウィリアムソンに捧げられたウイスキーが、2018年に免税店限定で発売されたラフロイグの25年物である。リフィルのバーボン樽で熟成されたもので、43%でボトリングされていた。1本410ポンド(当時のレートで約5万8,000円)という値段だが、ベッシーの生涯を綴ったブックレットが付いていて、彼女の物語を読むことができるようになっていた。これは「イアン・ハンター物語」と題したスペシャルボトルに次ぐ、シリーズの第2弾で、「ベッシー・ウィリアムソン物語」と名付けられたボトルだったが、残念ながら私はそのどちらも手に入れることができなかった。せめてハンター物語、ベッシー物語だけは読みたいと思っているのだが…。
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