2022-04-25
スコッチ【0204夜】アイラ島あれやこれや~その①
スコットランド西岸沖に大小数百の島からなるヘブリディーズ諸島がある。本土に近いほうをインナーヘブリディーズ(内ヘブリディーズ)、大西洋に面したほうをアウターヘブリディーズ(外ヘブリディーズ)といって区別しているが、そのインナーヘブリディーズ諸島の最南端にあるのが、アイラ島だ。Islayと綴るため英語の辞書などでは今でも「アイレイ」と発音すると書いているが、島民の発音はアイラである。
語源については諸説あり、デーン人(ヴァイキング)の姫イラ、あるいはイウラの島とする説が有力である。語尾のayはヴァイキング語(デーン語、ノース語)で『島』を意味する接尾語で、アイラだけでなくジュラやラッセイ、エリスケイ、コロンゼイなど、ヘブリディーズ諸島の多くの島にこのayやeyが付いている。そもそもヘブリディーズそのものがノース後で『地の果ての島』の意味だという。
アイラ島の面積は約620㎢で、これは日本でいうと淡路島より少し大きく、佐渡島より小さいサイズということになる。ただし人口は極端に少なく3400人ほどしかいない。ヘブリディーズ諸島の最南端に位置するということもあり、気候は比較的温暖で、冬でも雪が降ることはほとんどない。ただしメキシコ湾流(暖流)の影響で雨が多く、「一日のうちに四季がある」と言われるほど、目まぐるしく天気が変わる。高い山は存在せず全島が穏やかな丘陵地、牧草地で、その合間に湖や、広大なピートの湿原が広がる。特にボウモアから南のポートエレンにかけては10㎞以上もピート湿原が広がり、島の景観を特異なものにしている。
アイラ島の現在の中心地はインダール湾のほとりにあるボウモア町で、海辺に建つボウモア蒸留所と、丘の上に建つキラロウ教会、通称ラウンドチャーチ(円形教会)がシンボルとなっている。教会を円形にしたのは、柱の数を減らすためで、建築学上ユニークな教会として知られているが、島民は日曜礼拝のあと行われる献金の際に、柱の影にかくれて献金逃れをするのを防ぐことが目的だっだと、その真の目的を語る。いかにもケチと言われるアイラ島民らしいジョークだ。(つづく)
一覧ページに戻る