2021-12-25
アメリカン【0195夜】渋沢栄一とウイスキー好きのグラント将軍
この前、録画していたNHKの大河ドラマ『青天を衝け』を観ていたら、渋沢栄一が実業団を引きつれてアメリカを訪問するところをやっていた。西海岸から東海岸へと大陸横断鉄道で横断して全米各地を訪れていたが、その際に渋沢の希望でグラント大統領とペリーの墓に訪れていたことを知った。
たしか秋頃の放送回で、日本にやってきたグラント大統領夫婦を渋沢らがもてなしている場面があったが、グラント大統領こと、ユリシーズ・シンプソン・グラントは、南北戦争(1861~65年)を戦った北軍の将軍で、北軍を勝利に導いた英雄でもある。陸軍士官学校出身の大統領としては、唯一の存在で、南北戦争後の1869年にアメリカの第18代大統領に就任している。そのグラント将軍が日本にやってきたのは、大統領職を辞した1879年で、2年間にわたる世界周遊の途次であった。
グラント将軍(大統領)は、その名前からも分かるように、スコッチ・アイリッシュの移民の子孫。両親はアイルランド(アルスター)からペンシルベニアに渡った移民で、グラント自身はオハイオ州で生まれている。大の酒好き、ウイスキー好きで知られ、数々の失敗も引き起こしているが、軍人としては優秀で、南北戦争が始まるとすぐに指揮官に任ぜられ、南軍をアメリカの中西部、ミシシッピ北部で撃破し、やがてリー将軍率いる南軍をヴァージニアで包囲し、北軍の勝利を決定づけた。当時、北軍の指導者で第16代大統領だったリンカーンが、前線で戦うグラント将軍に、大好きなウイスキーを贈り届けたことは有名な話である。
2期8年務めた大統領時代には、ウイスキーの税金にまつわる汚職事件に関与していたのではないかと疑われ、スキャンダルにまみれた政治家といわれたが、ウイスキー好きは終生変わらなかったようだ。そのグラント将軍が亡くなったのは1885年7月のことで、享年63歳。死因は強いアルコールを長年にわたって飲んだことによる咽頭癌だったという。もちろん強いアルコールとはウイスキーのことだったが、グラント将軍の愛したウイスキーとは何だったのだろうか。はたしてリンカーンが贈ったウイスキーとは…。
第18代大統領のグラント将軍。南北戦争により国内統一を果たしたアメリカは、フロンティアの消滅や米西戦争を経て、積極的に世界情勢に介入していくことになる。今日のアメリカの世界的地位は説明するまでもないだろう…。 一覧ページに戻る