2021-12-20
アイリッシュ【0191夜】映画で知るアイルランド~その①
アイルランドといえば映画である。アイルランドを舞台にした、あるいはアイリッシュ系の人々が作った映画というのは数多くあるが、ここでは「アラン」、「静かなる男」、「ライアンの娘」、「マイ・レフトフット」の4つを紹介したい。
「アラン」は米国人ドキュメンタリー作家、ロバート・フラハティが作った映画で(1934 年)、"世界3大ドキュメント映画"の1つに選ばれている。アイルランド西部、アラン諸島のイニシュモア島で撮影されたモノクロの映画で、ドキュメンタリーと言っているが、実際はフラハティが島民を使って撮った映画で、断崖絶壁に囲まれた絶海の孤島で暮らす人々の生活を、厳しくも詩情豊かに謳い上げている。
カラハと呼ぶ小舟に乗って命がけで漁に出る男たちが身に着けていたのがアランセーターで、今ではこちらのほうが有名になっている。アランセーターは、それぞれの家で網目の模様が違い、それを着ていたのが誰かが分かるようになっている。海の男達の、そこには悲しい物語が紡がれているのだ。そういえば、このカラハをラベルにあしらったその名も「カラハ」というアイリッシュウイスキーが、2年前に日本でもリリースされ話題になった。海藻を食べる習慣があるアイルランドにちなんで、海藻(ケルプ)を燃やして、それで樽の内側をチャーしたというの売りだった。
「静かなる男」(1952 年)はモーリス・ウォルシュ原作の短編小説を、ハリウッド映画の巨匠ジョン・フォード監督が映画化したもので、主演はフォードファミリーのジョン・ウェインとモーリン・オハラ。フォード監督も含めて皆、アイルランド移民の子孫か、アイルランド出身の俳優たちである。ちなみに原作者のモーリス・ウォルシュは一時期、スコットランドのグレンバーギ蒸留所の駐在関税官を務めていたことがあり、その家が残っていることからフォードファン、「静かなる男」ファンが、時折巡礼にやってくるという。
ずいぶん前になるが、「カラハ」については『0008 スターウォーズの島をデザインしたグラス…』でも紹介している。 モーリス・ウォルシュが住んでいた家は現在でも残っている。 一覧ページに戻る