2021-11-26
カナディアン【0182夜】カポネがつくらせた割れにくいボトルとは
アメリカ禁酒法時代にマフィアの大ボス、アル・カポネと死闘をくり広げたのがアメリカ連邦捜査局(FBI)のエリオット・ネスたちだ。それを映画にしたのが『アンタッチャブル』(1987 年)で、映画ではカポネをロバート・デ・ニーロ、エリオット・ネスをケビン・コスナーが演じていた。さらに、この時シカゴ市警の老練刑事を演じていたのが、『007』のジェームズ・ボンド役で大スターとなったショーン・コネリーである。ショーンは2020年に90 歳で亡くなったが、もともとスコットランドのエジンバラの出身で、ボンド役の時はきれいなクィーンズイングリッシュを喋っていたが、『アンタッチャブル』ではスコットランド出身の刑事という設定で、いきいきと故郷のなまりであるスコティッシュアクセントで喋っていた。ちなみにショーン・コネリーがアカデミー助演男優賞を受賞したのは、この時の役でである。
それはともかく、カポネが「カナディアンクラブ」で知られるハイラムウォーカー社に特注したのが、ウォーカー社の門をデザインした、通称「ゲートボトル」だった。デザインはハイラムウォーカーのオリジナルだが、作ったのは「荒れた山道でも割れない頑丈なカナディアンクラブのボトルをつくれ」というカポネの命令だったという。密輸ルートはどれもデコボコの山道で、当時トラック1 台分のカナディアンクラブをシカゴに運べば、シカゴに新築の住宅16 戸が買えるといわれたほどだ。
このあたりは『アンタッチャブル』に詳しいが、一般的な丸瓶では険しい山道の運搬には向かなかったため、このゲートボトルは扁平な形を採用。しかも表面にエンボス加工を施していたため、デコボコ道でも割れなかったのだという。もちろん、これは密輸用(?)で、一般には販売されなかったものと思われる。第二次大戦後の1970 年代にハイラムウォーカー社は、このレプリカボトルをつくり、一度だけ販売したことがあったが、現在はそれも市場から消えている。ぜひもう一度、復活させて欲しいと思うのだが…。
アルカポネがハイラムウォーカー社に特別に造らせたゲートボトル。 ゲートボトルは、このハイラムウォーカー社の旧館をデザインにあしらっている。