2021-11-12
アイリッシュ【0174夜】ミッチェル社の競馬ポスター
アイルランドの友人から1枚の古いポスターが送られてきた。ダンヴィルズ社の額に入った古いポスターで、ベルファストのミッチェル社が作ったポスターである。ダンヴィルズは当時アイルランド最大を誇ったロイヤルアイリッシュ蒸留所のオーナー一家で、19世紀後半にはイギリスで最も成功したウイスキーメーカーでもあった。ミッチェル社はダブリンのミッチェル&サンズ社が有名で、てっきりそれかと思ったが、はっきりとベルファストと入っている。「グリーンスポット」「イエロースポット」で有名なダブリンのミッチェル家は、どちらかというとワインで有名で、ベルファストのミッチェルズ社のほうが、ウイスキーとしては元祖であるらしい。
それはともかく送られてきたポスターには馬が障害を跳び越えるイラストが4つ描かれていて、グランドナショナル(Grand National)と書かれている。グランドナショナルは世界一の障害レースのことで、毎年3~4月にイギリス・リバプールのエイントリー競馬場で開かれている。日本では障害競馬は人気がないが、イギリスでは絶大な人気を誇り、このグランドナショナルの優勝賞金は100万ポンド、約1億5000万円、賭け金も500~600億円になるという、最大のスポーツイベントだ。歴史も古く、初開催は1836年で、コースは全長約6.9km。16の障害を合計30回跳ばないといけない。毎年40頭近くの馬が出走するが、完走率は1~2割である。つまり、それだけ落馬や途中棄権が多く、もっとも過酷で、もっともスリリングなレースといわれているのだ。
16の障害のうち6つの障害には特別の名前が付いているが、このポスターにはそのうちの4つが描かれている。6番目の障害の名前がビーチャーズブルックで、7番目がフォイネイボン、8番目がキャナルターン、9番目がバレンタインズブルック、15番がザ・チェアー、そして16番目が唯一の水濠障害ウォータージャンプである。なぜ6つのうちの4つなのかは分からないが、数は時代とともに変遷しているので、それが理由かもしれない。
こちらが送られてきたポスターの写真。 一覧ページに戻る