2021-11-01
スコッチ【0167夜】南極で発見された100年前のウイスキー~その①
南極の氷の下から100年前のウイスキーが発見されたというニュースが、世界を駆けめぐったのは2007年3月のことだった。発見されたのはロイズ岬にある通称「シャクルトン小屋」の床下からで、発見したのはニュージーランドの調査隊。この小屋はイギリスの探検家、アーネスト・シャクルトンたちが1908年に建てたものだった。
シャクルトン隊が南極大陸のロイズ岬に到達したのは1908年1月下旬で、それから09年3月に南極を離れるまで、1年以上をロイズ岬で暮らし、周辺の調査と人類初の南極点到達を目指した。残念ながら南極点到達は逃しているが、1年以上に及ぶ科学的調査の成果と、地理的な極点ではなく南磁極に到達した栄誉を認められ、シャクルトンはのちにサー、貴族の称号を得ている。そのシャクルトン隊が南極を離れる際、小屋の床下に埋めていったのが、3箱のウイスキーだった。それは1907年にリースのブレンダー、チャールズ・マッキンレー社に製造を依頼したスコッチ25ケース、トータル300本のうちの3箱だった。
発見された時、木箱に入れられたウイスキーは厚い氷に覆われ、そのままの状態で取り出すことは不可能だった。発掘方法が慎重に検討され、最終的に床下全体を天幕で被い、温風を送りこむという方法で徐々に氷をとかし、木箱が氷の下から取り出された。発見から3年後の2010年1月のことである。さらに、そのうちの1ケースが、ニュージーランドのクライストチャーチにある、カンタベリー博物館の研究室に運ばれ、調査が行われることになった。100年ぶりに取り出されたボトルは一本一本、丁寧に麦ワラで覆われ、さらにティッシュに包まれていたという。そのティッシュの中から出てきたのが、『ML レア・オールド・ハイランド・モルト・ウイスキー(Rare Old Highland Malt Whisky)』と書かれたボトルだった。(つづく)
こちらがレプリカボトルの第1弾。 ボトルが入った木箱の底面には、"BRITISH ANTARCTIC EXPEDITION (英国南極探検隊)"という文字。これは、1907年の隊の公式名称だ。 一覧ページに戻る