2021-10-12
ジャパニーズ【0164夜】イチローズのカードシリーズが1億円で落札…
ベンチャーウイスキーのカードシリーズについては、通のジャパニーズウイスキーファンだったら誰もが知っていると思うが、先頃(2021年10月10日)開かれたワイン、ウイスキーオークションで、全58本のボトルが1億円で落札され、再び注目を集めている。主催者は海外酒販(株)という会社で、主にワインのオークションで知られてきた会社だが、今回東京のホテルニューオータニのガーデンタワー内にあるロールスロイスのショールームを会場に、国内で初めてカードシリーズがオークションにかけられることになった。
カードシリーズはベンチャーウイスキーの肥土さんが、廃棄処分されるはずだった羽生の原酒を引き取り、2005年からボトリングしてきたシリーズだ。トランプのカードをラベルにあしらったもので、すべて異なる樽でウッドフィニッシュさせ、シングルカスクでボトリングしたものだ。最後のジョーカー2種類が販売されたのは2014年のことで、その頃には知名度と期待値もあり、リリース前から世界中で話題となった。本来ならトランプの52枚とジョーカー2種類を入れて54本で完結するはずだったが、スペードのエースとハートのクイーン、クラブのジャックとダイヤのキングの4つは、ファーストリリースとは別にセカンドリリースも発売され、合計58本となっている。この4種のファーストリリースは、それぞれ120本という超貴重なもの。
私自身も、最初の頃はリリースのたびに買って飲んでいたが(当時スコッチ文化研究所が発行していた『スコッチ通信』で、リリースごとにテイスティングしていた)、途中からは、なかなか買えなくなってしまい、最後のジョーカーにいたっては、知り合いに頼んで、どうにか手に入れたという経緯がある。もちろん、今では1本も残っていないが、こうして58本のフルセットを持っている人が、世の中にいるということに、少なからず驚いている。完全なセットは世の中に4セットあるかないかと言われていて、そのうちセカンドリリースを含めた58本セットは、おそらくこれだけではないだろうか。私にコレクターの才があればと、いつも思うのだが…。
カードシリーズが1億円で落札された10月10日のオークション会場の様子。それにしても、後ろに写っているロールスロイスの最高級サルーンを2台も購入できる額とは…。 一覧ページに戻る