2021-09-09
スコッチ【0155夜】修道士ジョン・コーの墓が発見される!?~その①
「修道士ジョン・コーに8ボルの麦芽を与え、アクアヴィテを造らしむ…」というのが、人類最古のウイスキーに関する記録だということは、以前も紹介したことがある(0084)。この文書はジェームズ4世時代の1494年に書かれたもので、そのジョン・コーがいたとされるのが、ファイフのリンドーズアビー修道院である。リンドーズは12世紀に建てられた由緒ある修道院だったが、宗教改革で破壊され今は廃墟となっている。ここに現在、リンドーズアビーというクラフト蒸留所がオープンしているが、それはまたいつかの機会で…。
問題は修道士ジョン・コーで、彼は王から与えられた8ボル、現在の単位で約500㎏の麦芽から見事、アクアヴィテを造ることに成功した。これがウイスキーの原形だが、はたしてそれはどんなものだったのだろうか。実はあまり知られていないが、そのジョン・コーの墓が見つかり、その発掘調査でジョン・コーが携行していたオーク製のフラスコが見つかっている。しかも、その中にはごく少量の液体も残っていたというのだ。発掘調査が行われたのは2011年のこと。場所はリンドーズ修道院から遠く離れたエジンバラ南部のロスリンチャペル。「え、あのロスリン教会!!」と驚いた人は、相当な映画好き、いやミステリー好きかもしれない。
ロスリンチャペルは、ダン・ブラウン原作の世界的なベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』に登場する礼拝堂で、2006年に公開された映画では、実際にチャペル内での撮影も行われている。ロスリンは昔から謎のチャペルで、フリーメーソン発祥の地、さらにはテンプル騎士団の終いの棲み家、そしてキリストの聖杯が眠る場所ともいわれてきた。『ダ・ヴィンチ・コード』では、その聖杯をキリストの血脈と解釈し、イエスの子孫が代々…。まぁ、これは原作と映画にまかせるとして、2011年の発掘も、実はそれを調査するものだったという。チャペルの西側の墓地に、昔から聖杯にまつわる謎が埋まっていると言われてきたからである。(つづく)
リンドーズアビー。 謎多きロスリンチャペル。ロスリンチャペルのとある装飾の謎については、近々この千夜一夜でも紹介するのでお楽しみに…。 一覧ページに戻る