2021-08-30
ジャパニーズ【0150夜】本坊酒造のル・パピヨンシリーズ
先日TWSC(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)2021の第1回オンラインテイスティングを行ったが、そのうちの1本が本坊酒造の「マルスモルト・ル・パピヨン」シリーズの1本だった。これは日本の豊かな自然環境を蝶で表現したもので、すべてシングルモルトのシングルカスク。今回はテイスティングした7本すべてが最高金賞を受賞したものだったが、ル・パピヨンのシリーズが最高金賞に選ばれたのは、2021が初めてだ。
ル・パピヨンは蝶好きの本坊和人社長のアイデアだと思うが、ヤクシマルリシジミ、ミヤマカラスアゲハ、ギフチョウ、オオルリシジミ、ミヤマシロチョウ、アオスジアゲハ、ツマベニチョウ、クジャクチョウ、そしてイシガケチョウなど10種類近くが今までに出ている。今回受賞したのは、そのうちの1つのクジャクチョウだったが、これだけ日本の蝶が登場するシリーズは珍しい。毎回その蝶をイメージする1樽をマルス信州蒸溜所のストックから選びだし、それをシングルカスクのカスクストレングス、ノンチル・ノンカラーリングでボトリングしている。
このクジャクチョウは鮮やかな朱色と、目玉のような大きな模様が特徴で、日本の北の山岳地帯に棲息するという。その鮮やかな色と目玉のアクセントを、ヘビリーピーテッドのシェリーバット樽に重ね合わせたもので、本坊和人社長のまさに真骨頂といえるものだろう。蝶の生態とウイスキーに精通した者でないとつくり出せない、世界でも唯一無二のものと思われる。
本坊社長の足もとにも及ばないが、私も昆虫好きで、香川照之の『カマキリ先生』を毎回欠かさず見ている。1976年のチベット遠征の時には、標高3,500から5,000メートルのラダック・ザンスカール地方で、にわか蝶ハンターとなり、大きな捕虫網を持ってヒマラヤの蝶を追いかけたものである。標高5,200メートル峠では、アポロ蝶(ウスバシロチョウ)を捕獲したこともある。
あの標本はどこへいってしまったのだろう…。
TWSC2021洋酒部門で最高金賞を受賞した「マルスモルト ル・パピヨン シングルカスク クジャクチョウ」。 一覧ページに戻る