2021-08-05
スコッチ【0135夜】言葉の人と剣の人という2つのシングルモルト
2014年に南スコットランド・ダンフリース郊外のアナンデールに創業したのがアナンデール蒸留所で、そこがリリースしているのが、「マン・オ・ワーズ」と「マン・オ・スワード」の2種のシングルモルトである。マン・オ・ワーズとは“言葉の人”の意味で、ダンフリースゆかりのロバート・バーンズにちなんでいる。バーンズは“スコットランドの国民詩人”といわれる人物で、晩年(といっても37歳で逝去)はダンフリースで暮らしていた。
マン・オ・スワードは“剣の人”の意味で、これはスコットランド王・ロバート・ザ・ブルースから付けられた。ブルース王は、ここダンフリースの出身で、当時王位継承を主張できる10数人の貴族の一人だったが、1305年に最大の政敵だったレッドカミンこと、ジョン・カミン卿を、ダンフリースアビー(修道院)の礼拝堂の中で暗殺してしまった。このことで、後にローマ教皇から“アウトロー”として破門されてしまうが、翌1306年にスクーン城でロバート1世として即位。その後1314年にスターリング近くのバノックバーンで、イングランド軍を破り、スコットランドの独立を勝ち取ったことで知られている。そのため、スコットランド独立の英雄として、今でも人気が高いが、地元では“アウトローキング”、無法者の王と呼ばれているのだ。
アナンデールはもともと1836年に創業した名門蒸留所で、一時期ジョニーウォーカーで知られるジョン・ウォーカー社が所有していたが、1918年に閉鎖。その後、長い間ポリッジ(オートミール)の生産工場として使われていたが、それを改装して再び蒸留所として2014年にオープンした。仕込みにはノンピートとへビリーピートの2種類の麦芽を用いていて、ノンピートのものが「マン・オ・ワーズ」、へビリーピートのものが「マン・オ・スワード」である。ちなみにロバート・ザ・ブルース王は、1320年のアーブロース宣言でローマ教皇の破門が解け、正式にスコットランド王として認められている。