2021-07-08
スコッチ【0122夜】オリジナル版画の謎解き⑦ ~グレンモーレンジィ、ハイランドパーク編
以前ウイスキーキャットとヤマネコについては千夜一夜でも紹介したことがあるが、今回は蒸留所版画シリーズの謎解き。グレンモーレンジィであしらったのが、スコッチで一番背が高いという(今はエジンバラのホーリルード蒸留所に抜かれたが)スチルとヤマネコだ。モーレンジィのスチルはネックの高さが5.14mもあり、それが12基並ぶ様は壮観だ。もともとジン用の中古だったスチルで、スチルハウスの美しさでは、モーレンジィが一番だと思っている。ヤマネコはハイランドに棲息する絶滅危惧種で、蒸留所を創業したサザーランド公爵の副紋章でもある。モーレンジィには「カドボールハウス」というカントリーホテルがあり、そこの玄関ホールに、このヤマネコのハク製が飾られていた。カドボールという地名も、ノース語(ヴァイキングの言葉)で、ヤマネコの草原の意味だとか。
ヤマネコではないが、ウイスキーキャットで有名だったのが、オークニーのハイランドパーク蒸留所だ。ハイランドパークはカークウォールの高台に1798年に創業した蒸留所で、今でもフロアモルティングを続ける数少ない蒸留所のひとつ。当然、ネズミの天国となっていて、歴代のウイスキーキャットが活躍した。版画にあしらったのは、2000年代に交通事故死した、名物キャットのバーレイだ。バーレイは大麦のことで、文字通り黄金色をしていた。相棒のモルトと一緒にネズミを獲っていたが、人間も大好き(?)で、気が向くとツアー客を案内して蒸留所を廻っていた。
私も2~3度バーレイがツアー客を先導するところを見たことがあるが、興がのるとフロアモルティングの麦芽床のところで、ネズミとりのデモンストレーションをしていた。突然、脱兎のごとくフロアの片隅めがけて駆け出し、ネズミの出現に身構えるのだ。デモンストレーションと思うのは、その穴からネズミが出てくるところ一度も見たことがないからで、スタッフも「またか」という顔をして見ていたからだ。ネコも演技をする…。
高さ5.14mを誇るグレンモーレンジィのスチル。これは大人の雄キリンの体長と同じくらいの高さだ。 ヤマネコとコラボしたグレンモーレンジィ蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。ハイランドヤマネコについては、「0014 絶滅危惧種のハイランドヤマネコ」で詳しく紹介している。 ハイランドパーク蒸留所。 ハイランドパーク蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。コラボしているのは蒸留所の名物キャットだったバーレイだ。