2021-07-02
スコッチ【0119夜】オリジナル版画の謎解き④ ~カリラ、ブナハーブン編
アイラの蒸留所と版画・トートバッグについて紹介するシリーズ第4弾。アイラ島北東部にあるカリラとブナハーブンについて。カリラはかつてUD社の“花と動物シリーズ”で、アザラシをシンボルとしたボトルが販売されていた時期がある。アザラシが選ばれたのは眼の前のアイラ海峡はアザラシの好ポイントだからだ。私もポートアスケイグ港や、カリラの前で泳ぐアザラシを何度か見たことがある。しかし花動のカリラはすでに終売し、その後ヒドゥンシリーズの1本としてリリースされるようになった。現在はもうアザラシをシンボルとはしていない。さらにアードベッグでウイ文研はアザラシを使ってしまったので、スチルハウスのスチルと、そして窓の外に展開されるジュラ島の大パノラマを、カリラのイチ押しとして版画にすることにした。アイラ海峡の向こうにジュラ島のパップス山(乳房山)が見えていて、これ以上ダイナミックな風景はない。あえて動物はいらないだろうと判断をした。
そのカリラからさらに北に行ったところにあるのがブナハーブンで、これもシンボルは悩んだが、対岸のジュラ島の断崖絶壁にゴールデンイーグルが営巣していることを知り、これをシンボルとすることにした。実は船をチャーターしてジュラ島を周遊したことがあり、実際に崖の上にいるゴールデンイーグルを見たことがある。ゴールデンイーグルは翼を広げると2m以上になる大鷲のことで、飛んでいる姿は見たことがなかったが、崖の上にポツンと佇む姿が、強烈に印象に残った。最初、船長に言われるまで分からなかったが、まるで仔牛ほどの大きさがあり、家畜だと思っていた。しかし、よく見ると異様な大きさの鳥が佇んでいる。海風に吹かれても微動だにせず、崖の上で周囲の空間を支配している。この時に、なぜスコットランドではゴールデンイーグルの存在が特別なのか分かった気がした。ブナハーブンに組み合わせるなら、これしかない。そう思った次第だ。
カリラ蒸留所のポットスチル。窓の外にはジュラ島のパップス山が見える。 動物ではなく、ダイナミックな風景とコラボ(?)したカリラ蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。 ブナハーブン蒸留所。 ゴールデンイーグルとコラボしたブナハーブン蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。ジュラ島ではないが、ゴールデンイーグルにまつわるエピソードを「0080 アランとラッセイの不思議なキャップ」でも紹介している。 一覧ページに戻る