2021-06-29
スコッチ【0116夜】オリジナル版画の謎解き③~ラフロイグ、ボウモア
“キンダルトン3兄弟”でもっともポートエレン寄りにあるのがラフロイグで、アイラで一番古いのがボウモア蒸留所である。アードベッグのアザラシ、ラガヴーリンの白鳥ときて、ラフロイグは何にしようかと考えた時に、すぐ頭に浮かんだのが、カワウソだった。ラフロイグの入江にはカワウソの一家が暮らしていて、時折、その愛らしい姿を見ることができると、以前蒸留所の職人たちから聞いていたからだ。ラフロイグが仕込水としているは、蒸留所の北にあるキルブライト川だが、川には人工の小さなダム(キルブライト湖)が築かれていて、そこでもたまにカワウソの姿を見ることができるという。一度キルブライト湖を見に行ったことがあるが、そこでは多くのブラウントラウト(鱒)が群れていた。カワウソは、そのブラウントラウトを食べにくるのだろうか。
ボウモアは1779年に創業したアイラ最古の蒸留所だが、その仕込水は島の中央部を流れるラーガン川から引いている。このラーガン川はアイラで唯一のサーモンリバーで、毎年夏には本土から釣り師がやってくるが、サーモンはアイラ島ではそれほどポピュラーではない。やはりサーモンが遡上するには、川が小さすぎるのだろう。ボウモア蒸留所も建物の美しさが光っているが、それに組み合わせるものとして選んだのは、カモメである。今ではボウモアがカモメをシンボルに用いることはなくなったが、サントリーがボウモアを買収する1994年以前のモリソンボウモア社時代は、カモメをシンボルとし、ラベルにも、そしてTシャツやネクタイなどにも、カモメが描かれていた。今、それがなくなってしまったのは、ちょっと残念な気もするが、シンボルとするには、あまりにも当たり前すぎるからかもしれない。あまりにも普通すぎて、シンボルにはふさわしくないと判断されたのだろう。なんせアイラ島ではカラスやスズメ以上に数が多いのだから…。
ラフロイグ蒸留所。 カワウソとコラボしたラフロイグ蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。ウイスキーファンにとって、より馴染みのある(?)カワウソについては、「0012 カワウソが描かれたボトルとは」で紹介している。 ボウモア蒸留所。 カモメとコラボしたボウモア蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。 一覧ページに戻る