2021-06-25
スコッチ【0114夜】オリジナル版画の謎解き① ~アードベッグ
昨年からやっている半期に一度の大セール、サマーセール2021のパンフレットができたので、その目玉のひとつであるオリジナル版画と、それを使ったトートバッグについて。現在までに20種類リリースしているが、その図柄について、なぜその図柄を選んでいるのかを謎解きしたい。まずはアイラの8種類。“キルダルトン3兄弟”のアードベッグから。
アードベッグはなんといっても、その蒸留所の佇まいの美しさで、それと組み合わせるものとして選んだのが、アードベッグの入江や、その隣の湾に多く棲息するアザラシ。元々この版画シリーズは、かつての「花と動物シリーズ」にインスパイアされたもので、当初から蒸留所と、そのシンボルを組み合わせることがコンセプトだった。そこでアードベッグにふさわしいものとして選んだのがアザラシで、実はここは『フィオナの海』として有名になったところ。
ヴァイオリニストのフィオナさんが、アイラ南岸のキルダルトンに移住して、毎日浜辺でヴァイオリンの練習をしていたという。すると、まるでその音色に聴き入るかのようにアザラシが海面に顔をだし、フィオナさんを見つめるようになったという。いつしかフィオナさんと、そのアザラシたちが話題となり、テレビドキュメントにも登場し、そして本にもなった。それが『フィオナの海』である。もちろん、アードベッグが所在する湾ではないが(隣の小さな入江)、アードベッグに組み合わせるとしたら、このアザラシしかないと思ったからだ。
ちなみにアイラ島周辺にはアザラシが多く棲息し、キルダルトン周辺以外でもアイラ海峡、そして北西部のリンス半島のポートナハブンの村は、アザラシウォッチングの第1級ポイントになっている。ここには「アンティシェイン」という小さなパブが1軒あるが、たまにアザラシが人間の姿に変身して、酒を飲みにくることがあると、村人は言う。アイラ島にはアザラシにまつわる伝記や昔話が、たくさん語られているのだ。
キンダルトン3兄弟の一角、アードベッグ蒸留所。 ウイスキー文化研究所のオンラインショップで販売している、アザラシとコラボしたアードベッグ蒸留所をモチーフにしたウイ文研オリジナル版画。 一覧ページに戻る