2021-06-23
アイリッシュ【0113夜】クロナキルティのニューメイクを試飲
ミンク鯨の尻尾をシンボルにしたクロナキルティ蒸留所については、0106でも紹介した。アイルランド南西部、コーク州のクロナキルティ町に2016年に創業した蒸留所で、2019年3月から3回蒸留のポットスチルウイスキーの生産を開始している。もともと地元で8代続く農家で、大西洋を見おろす段丘の上に広大な大麦畑を所有し、そこで大麦を育ててきた。ミンク鯨をシンボルとしたのは、その畑から沖合を泳ぐミンク鯨が見られるからという。
『ウイスキーガロア』の26号(2021.5.12)でボトルの紹介をし、27号でも蒸留所を紹介している。そのこともあってか、先日クロナキルティから、ニューポットのサンプルが送られてきた。このコロナ禍の中、海外から直接サンプルが届くのは珍しいが、その好意に感謝してさっそくテイスティングしてみた。サンプルは200mlのボトルで、なんとポットスチルウイスキーのニューメイクである。ということは正真正銘、彼らが造ったウイスキーで(現在販売されている製品は他社の原酒を使ったもの)、生産開始から2年目のニューポットということになる。
原料は大麦麦芽60%に大麦40%と書いてある。どちらも、クロナキルティの自家製大麦だろう。度数は63.5%とサンプルラベルにあるから、蒸留したてというより、樽詰め前の加水後のサンプルということになる。3回蒸留のニューポットだと、蒸留直後のアルコール度数は82~83%になるからだ。
実際テイスティングしてみると、麦のジュースというか、すごい麦感がある。まるで収穫前の大麦畑に迷いこんだかのようだ。さらにアマニ油のようなオイリーさがあり、口当たりはソフトで滑らか。度数を感じさせないスムーズさとコクがあり、これはこのままで充分飲めると感じた。シングルモルトのニューポットより、はるかに滑らかでコクがあり、複雑だ。アイリッシュのポットスチルウイスキーのニューメイクを飲む機会は滅多にないので、感謝である。
クロナキルティから送られてきた、ポットスチルウイスキーのニューメイク。シンボルの尻尾も、すっかりお馴染みになってきた(?) 一覧ページに戻る