2021-06-22
スコッチ【0112夜】ラリック社からリリースされた驚きのグレンタレット
このところガロアの原稿と校正に追われていて、この千夜一夜を書いていなかったが、今回は久しぶりにスコッチの話題をひとつ。以前にもウイスキーキャットで紹介したことがあるグレンタレット蒸留所だ。
グレンタレットが、あのクリスタルメーカーとして有名なラリック社に買収されたのが、2019年3月のこと。もともとエドリントン社の所有で、近年はブレンデッドの「フェイマスグラウス」の原酒蒸留所として、一手にその原酒を造ってきた。さらにフェイマスグラウスのホーム蒸留所として、蒸留所は雷鳥一色に飾られ、入口横にはスチルの廃材でつくった巨大な雷鳥のオブジェまで登場する始末。タレットといえば世界一のウイスキーキャット、タウザーのいた蒸留所として、つとに有名で、蒸留所にはタウザーの等身大(?)の銅像も建てられていたが、すっかり雷鳥に追いやられ影が薄かった。
そのタレットを雷鳥から取りもどしたのがスイスに本社を置くラリック社で、生産ラインをはじめ、すべてを見直し、ボトルデザインも一新。当然、中身も一新したが、その中身のブレンデッドを手がけているのは、かつてマッカランでウイスキーメーカーとして一世を風靡したボブ・ダルガーノ氏だ。そのダルガーノ氏を招聘し、すべての製品を任せている。今回、日本にもそれが正規で入ってきたので、次号のガロア(2021年7月12日号)では、さっそくそれを取り上げている。トリプルウッド、10年ピーテッド、12年の3本だが、一番驚いたのが、スモーキーでピーティな10年ピーテッドだ。
これは2000年代にフェイマスグラウスのピーティ版、ブラックグラウス用の原酒として仕込まれたもので、その麦芽のフェノール値は100ppmだという。ツイード川の畔にある、ベリック・アポン・ツイードのシンプソンズ社の麦芽で、もちろんピートは本土産。ややドライな感じなスモークだが、へビリーピートのグレンタレットは珍しい。中身の7割がそれで、3割はノンピートだというが、50%でボトリングしているのは、ダルガーノ氏のこだわりだ。ぜひ一度お試しあれ!! 驚きのグレンタレットである。
ピーテッドの10年は、次号のウイスキーガロアでも取り上げている。グレンタレット蒸留所とタウザーについては、「0019 ギネスブックに載った世界一のネコ」で紹介している。 一覧ページに戻る