2021-06-07
ジャパニーズ【0110夜】日本標準時のジン
東経135度線というジンがあるのをご存知だろうか。造っているのは兵庫県明石市の海峡蒸溜所。そう、東経135度線が通っているのが明石市で、これは日本の標準時となっている。もちろん子午線の基点なっているのがイギリスのグリニッジで、ここが東経・西経の0度である。グリニッジには有名なグリニッジ天文台があり、そのそばのテムズ河畔には、この『千夜一夜』にも登場した帆船カティーサーク号が永久保存されている。
明石にも天文館があり、私は行ったことないが、天文少年には懐かしい場所でもある。その海峡蒸溜所を創業したのが、明石で日本酒造りを行ってきた明石酒類。鯛の絵が描かれた日本酒の「明石鯛」が地元ではよく知られている。しかし、ここが驚きなのは、この「明石鯛」が日本以上にイギリスで知られていること。実はイギリスの高級ホテルのレストランなどに置かれている日本酒のナンバーワンブランドが、この「明石鯛」なのだ。
明石といえば、タコとタイ。タコを使った明石焼きは関西でも有名だが、明石沖で取れるタイは、ブランド鯛として食通の間では、大変有名である。その明石酒類が、イギリスのモスバーン社の提携を受けオープンしたのが海峡蒸溜所である。海峡はもちろん明石海峡のことで、目の前にその海峡と、そして本土と四国を結ぶ明石海峡大橋が、その真上を通っている。海峡蒸溜所で造るウイスキーは「波門崎」というブランド名が付けられているが、これも明石にある我が国最古の石造りの灯台から名付けられた。現在はフォーサイス社製のスチル2基を使ってモルトウイスキーを造り、将来的には日本でも流通させたいとしている(今は欧州向け)。
そこが、この秋から日本でも販売するというのが「東経135度線ジン」で、ロンドン伝統のドライジンと、日本のボタニカルを使った和のテイストをミックスさせている。いわば、これも洋と和の融合を狙ったユニークなジンなのだ。
この秋から日本で販売予定の「東経135度線ジン」。 海峡蒸溜所で使用しているポットスチル。