2021-05-25
アイリッシュ【0107夜】アイルランドの伝統料理
アイルランドの伝統料理といえばジャガイモを使ったものが多いが、その1つがアイリッシュシチューだ。これはジャガイモとタマネギ、そして羊肉を使ったシチューで、味付けはシンプルに塩と胡椒というのがほとんどだ。家庭ごとにレシピがあるといわれるくらいで、多くのバリュエーションがあるが、肉はやはり羊肉。要するにマトンが一般的。牛肉を使えば、それはビーフシチューにとなり、この時は肉をやわらかくするために、ギネスなどの黒ビールで煮込んだりする。しかし、アイリッシュシチューは羊である。それも本来は、安い首の肉などを使ったりする。どうしてもマトンがダメというところは、ラム肉を使うところもあるようだ。カブの一種のターニップを加えることはあるが、ニンジンは入れてはいけないという。要するに色のついた野菜はダメというわけだ。
ジャガイモはそのままでも食べるが、マッシュにしてホットケーキ状に焼いたものもある。スコットランドではポテトスコーンといって朝食の定番となっているが、アイリッシュも同様に朝食から、これが出てくる。パンはアイルランドでは独特のソーダブレッドが今でも食べられている。イースト菌を入れて発酵させるパンではなく、重曹を用いたパンで、素朴な味がするが、これはこれで悪くない。濃厚なバター(ケリー州のケリーバターは世界一との呼び声も)をつけて食べたら、絶品だ。アイルランドは海藻を食べる習慣があると以前も紹介したことがあるが(0101)、地域によっては、この海藻をパンに焼きこむこともあるという。
アイルランドは農業国だが、海の幸も豊富で、スコットランド同様、サーモン、シートラウト、スズキ、アンコウなどが食卓を賑わせている。貝はもちろんオイスターとムール貝で、特に西海岸のオイスターは有名。アイルランドには絶滅危惧種(?)ともいえるネイティブのカキもいて、食通を唸らせている。いわゆる日本の真カキではなく、小ぶりの扁平のカキである。
アイルランドを代表する家庭の味、羊肉シチュー。日本の食卓でいう肉じゃがのようなものだろうか…。 こちらも定番のムール貝。 サーモン以上に美味といわれるシートラウトとは、海に下ったマスのことで、レストランでは必ずと言っていいほどメニューに載ってくる。 一覧ページに戻る