2021-04-09
スコッチ【0087夜】スコットランドの在来種、ハイランド牛とは
ハイランドの風物詩として欠かせないのが、ハイランド牛。英語ではハイランドカウ、ハイランドカトルと言うが、スコットランドでは訛ってヒーランク―と言う。もともとハイランド地方の在来種といえばこのハイランド牛しかいなかったのだが、19世紀以降は品種改良が進みアバディーンアンガスやジャージー、ホルスタインなどが登場し、このハイランド牛を飼育する農家はほとんどいなくなってしまったという。
アバディーンアンガスはスコットランドで品種改良された黒毛の肉牛で、アバディーン種とアンガス種をかけ合わせたもの。ホルスタインもジャージー牛も乳用牛として品種改良されたもので、つまり、肉もミルクも、そして長い毛からロープや袋用の糸を紡いだハイランド牛は、時代遅れになってしまったというわけだ。
それでもスコットランドの風景にはハイランド牛が不可欠として、30年くらい前から観光省が奨励して徐々に昔ながらのハイランド牛を飼う農家も増えてきた。またスコットランドを舞台とした映画、たとえば『ロブロイ』や『ブレイブハート』などでは、時代考証的にハイランド牛しか使えなく(14~18世紀まではハイランド牛しかいない)、そのために多くのハイランド牛が映画のためにかき集められたという。
ところがハイランド牛が増えるにつれ近年はその肉質が見直され、グルメの間で評判になっているのだとか。絶対数の少なさと、アバディーンアンガスとは違ったその肉質が珍重され、スコットランドやイングランドの高級レストランのメニューにも登場するほどだという。いつの日かアバディーンアンガスと同じように、ステーキとして手軽に食べられる日がくるのかもしれない。「もってのほか。こんな可愛らしい牛を食べるのか?」って。ごもっとも…。