2021-03-25
スコッチ【0083夜】タリバーディンとジェームズ4世~その①
大全ボトルのキャップ・ラベルシリーズ(?)の最後ということで、今回はタリバーディンのキャップに描かれた1488という数字と王冠について―。
もちろん、これはすぐに王様のことを言っていると気づくが、1488はこの年に戴冠したスコットランド王、ジェームズ4世のことだ。ウイスキーをやっていると、やたらと王様が出てきて覚えるのに苦労するが、そんな時、私が便利に使っているのが、スコットランドの観光地の売店で売っている竹のもの差しだ。30センチのもので、ここに歴代の王様の名前と、その在位年が載っていて重宝している。
それを見るとジェームズ4世が父のジェームズ3世を継いで即位したのが1488年と分かる。在位は1513年までなので25年間ということになるが、では、なぜタリバーディンがこれをキャップにしているのか。タリバーディンはスターリングシャーのブラックフォードで1949年に創業した蒸留所だが、ブラックフォードは名水の産地として知られ、ここで造られるエールビールはスコットランドいちと言われてきた。有名なハイランドスプリングというミネラル水の取水地でもあり、王が戴冠した1488年に、その祝賀パーティーで出されたのが、このブラックフォードのエールだったという。
現在、そのビールは復活されていて、その名も「1488エール」といい、これはタリバーディンの売店でも売られているし、かつてはクラフトビールとして日本にも入っていた。そのことで、タリバーディンはジェームズ4世の1488という年号をラベルにあしらっているものと思われる。
ところで、このジェームズ4世は歴代王の中でも有能な王だったといわれていて、彼の治世の間にスコットランドは文化・経済・産業面で発展し、領土も拡大したといわれている。さらにウイスキーにとっても、この王は重大な意味を持つのだが、それはどうしてか…。(以下つづく)
(上)歴代スコットランド王と、その在位期間が載っているもの差し。スコットランド単独の王としては、ジェームズ6世が最後の王となる。ジェームズ6世は、エリザベス女王崩御後、ジェームズ1世としてイングランド王も兼ねることになる。(中)(下)タリバーディンのラベルとキャップ。 一覧ページに戻る