2021-02-08
スコッチ【0064夜】イギリスでは朝食を3度食べろ!?~その①
ヘビーな話が続いたので、少し軽い話を。今はどうか知らないが、私が暮らしていた30年ほど前のイギリスは、食事がまずいことで定評があった。口の悪いフランス人からは、「ゴミ箱をさがしてもフランスではこんな料理は落ちていない」と、酷評されたもの。当時、言われたのが、「おいしいものを食べたかったら朝食を3回喰え」だった。イギリスの朝食だけは、ヨーロッパの人々からも合格点がもらえていた(これもヒドイ言い方だが…)。
ヨーロッパなどの美食の国では夕食が遅いせいもあって、朝食は一般的に軽めのものが多い。フランスではコーヒーとクロワッサンくらいで、基本的に厨房の火は使わない。対してイギリスは夕食(ディナーではなくサパーという言い方が一般的)が、あっさりしているせいか、朝食からしっかりと食べる。イングリッシュ・ブレックファーストの定番は卵にベーコン、ソーセージ、そしてマッシュルームと焼きトマトだ。トマトを焼くとは何事かと思うが、慣れれば意外とうまい。
スコットランドの朝食も基本これと同じだが、さらにブラックプディングという血を固めたソーセージ(?)やポテトスコーンが付く。最近では朝からハギスが出てくるところもあり、イングランドに比べてはるかにボリュームが多い。さらにスコットランド独特のものとして、ポリッジとキッパーズと、ハドックなどがある。ポリッジはオートミールのことで、日本人にはお粥のようなもので違和感はないが、イングランド人には理解しがたいものらしい。子供時代の林間学校などで泣く泣く食べさせられ、それがトラウマになっている者も多いときく。さすがに、これに蜂蜜や砂糖、ミルクをかけて食べるスコットランド人のことは理解できないが、塩をふりかければ、日本人には懐かしいお粥である。
では、キッパーズとハドックとは何なのか。(0065につづく)
(上)スコットランドの朝食の定番キッパーズ。キッパーズについては、明日の記事でも紹介するが、以前の千夜一夜でも紹介しているので(0020)、ぜひそちらもご覧いただきたい。(下)こちらもスコットランドの一般的な朝食。ご飯がすすむのはもちろんだが、どこかお酒もすすみそうな(?)ラインナップである…。 一覧ページに戻る