2020-12-11
ワールド【0035夜】韓国市場でしか流通していないブレンデッドスコッチとは
韓国のソウルに行ったのは、かれこれ10年近く前の事だが、その時に韓国のウイスキー事情について話を聞くことができた。韓国はスコッチの輸入国としては当時日本を抜いて、アジア1位だったが、その99%はブレンデッドだった。それもほぼ韓国でしか流通していない、ウィンザー、インペリアル、ゴールデンブルーの3つで、この3つで90%以上を占めているといわれた。
今は少し事情が異なるかもしれないが、1位がウィンザーで、これはディアジオのブレンデッド。2位がインペリアルで、これはペルノリカール、3位のゴールデンブルーはロッテのブランドで、造っているのは確かアンガスダンディー社だった。中でもウィンザーは断トツで年間100万ケースを軽く超えていた。飲料事情も特殊で、ほとんどが高級クラブ、つまり女性ホステスがいる店で、主に接待用だったという。韓国は今でもいっき飲みの習性があり、このウィンザーもホステスと客とで交互にいっき飲み。接待の席では一晩に何本も空くことがあるといわれた。そのために詰め替えが横行したが、それを防ぐためにディアジオが開発したのが、ドロップ式の目印だった。開栓するとその仕掛けが飛び出し、それが未開封かどうかが分かるのだ。
当時、このウィンザーはディアジオのキルマーノックのプラントで瓶詰めされていたが、ここ数年で韓国市場におけるスコッチの販売量が低迷し(30%ダウン)、ついに今まで明かされなかったキーモルトを、ブランド名にも表示するようになったという。それが「ウィンザー(W)・ロイヤルロッホナガー」というボトルで、しかも税率改訂にともなって、従来の37~40%のアルコール度数を、35%に改めたという。これは少しずつではあるが、韓国でもシングルモルトが認知されはじめているからだろうか。
それにしてもロイヤルロッホナガーはジョニーウォーカー青ラベルの原酒と聞かされていた、韓国以外の消費者にとっては、いささか不可解とも思えるのだが…。
(上)左から順に、ウィンザー、インペリアル、ゴールデンブルー。ちなみに3本とも容量は450mlである。(下)ディアジオが開発したドロップ式の目印。未開封ボトルを開栓すると上から下に目印が飛び出す。 一覧ページに戻る