2020-11-26
スコッチ【0025夜】モルト通に大人気となったUD社の花と動物シリーズ
クラシックモルトの成功で味をしめたのか、あるいは世界中のファンから要望が強かったのか、UD社はクラシックモルト発売の4年後の1992年に、フローラ&フォウナ、日本語に訳して「花と動物シリーズ」をリリースする。これは、それまでほとんどリリースされることのなかったUD社傘下の18の蒸留所のシングルモルトを、リミテッドで販売したものだ。
花と動物といっているのは、それぞれの蒸留所のシンボルとなる動物や花などがラベルに描かれていたからである。発売直後から人気となり、その後いくつかが追加されたり、あるいはジョン・デュワー社傘下の5つの蒸留所がバカルディ社に売却されたりで、ラインナップが変更になったが、確かトータルで26蒸留所のシングルモルトが、この花・動シリーズの1本として出されていたはずだ。その後も蒸留所の再編が続いたりして、現在このボトルを継続しているのはクライヌリッシュやブレアアソール、リンクウッド、インチガワーなど10ほどでしかなくなった。32年続いているクラシックモルトとは、そういう意味では対照的だ。
花と動物と言っているが、植物がラベルに描かれたのは確かブラッドノックとローズバンクくらいと記憶している。どちらも現在はディアジオの所有ではなく、当然ボトルも変わっている。動物で一番多いのは鳥で、雷鳥や白鳥、オイスターキャッチャー(都鳥)や、アカゲラなどが選ばれていた。
鳥以外のほ乳類ではアナグマ、カワウソ、山猫、ノロジカ、海の生物としてはアザラシ、ネズミイルカなどが選ばれていたが、魚では私が記憶する限り、たった1つしかない。それはクレイゲラキのサーモン(鮭)で、理由はクレイゲラキ蒸留所がスペイ川の近くに建てられていたからだ。特にクレイゲラキ村のトーマス・テルフォードの橋の下あたりが、サーモン釣りの1級ポイントになっていたからだろう。本当はマッカランの下がサーモンで有名なポイントなのだが、マッカランはDCL、UD、ディアジオ社の所有になったことは一度もない。
クライヌリッシュについてもっと知りたい方は…
『絶滅危惧種のハイランドヤマネコ』
ブレアアソールについてもっと知りたい方は…
『カワウソが描かれたボトル』