2020-11-25
スコッチ【0024夜】なぜクラシックモルトの6種は選ばれたのか
UD社のクラシックモルトについては0023で、その6種のシングルモルトについて紹介したが、それぞれ何が“クラシック”で、何が共通項だったのだろうか。
1つは、どれもが伝統的な造りをしていることである。ポットスチルもダルウィニー、グレンキンチ―、オーバンが、それぞれ2基ずつで、ラガヴーリンとクラガンモアが4基、そしてタリスカーが1番多く5基となっている。創業時期もすべて19世紀か、それ以前で、100年以上の歴史がある。そして一番肝心なのは、ラガヴーリンを除いて、5つの蒸留所はすべて昔ながらのワームタブ冷却装置を使用していたことだ。アイラ島のラガヴーリンだけが近代的なシェル&チューブ・コンデンサーだが、それ以外は当時すでに少数派だったワームタブを残していたことだ。まさに“クラシック”と呼ぶにふさわしいラインナップである。
もう1つは、それぞれがDCL社の看板だったブレンデッドスコッチのキーモルトを造る蒸留所だったことも見逃せない。クラガンモアはオールドパーのキーモルトであり、グレンキンチ―はヘイグ、ダルウィニーはブラック&ホワイト、タリスカーはジョニーウォーカー、そしてラガヴーリンはホワイトホースのキーモルトである。ここでも唯一の例外が、オーバンだ。オーバンは西ハイランドのオーバン町に1794年に創業した蒸留所で、町の中心部に建てられているため、拡張するスペースがなかった。そのため創業以来230年間にわたり、スチル2基という最小サイズのまま今日まできている。
オーバンの年間生産能力は87万リットルと、ディアジオ28蒸留所の中で、現在はロイヤルロッホナガーに次ぐ2番目に小さな蒸留所となっている。そのためクラシックモルトに選ばれて以降はすべてシングルモルト用で、ブレンド用には一切出荷していない。これはディアジオの蒸留所としては唯一の存在なのだ。
オーバン蒸留所の外観と、同蒸留所の2基のポットスチル。87万リットルというと、一般的な25mプール2つと大体同じ水量になるらしい…。 一覧ページに戻る