2020-11-10
アイリッシュ【0015夜】バイデン氏に敬意を表した(?)ブラザーシップというウイスキー
アメリカ大統領選挙で当選確実となった(11月10日現在)、ジョー・バイデン氏はアイルランド系移民の子孫で、5代前の先祖は1845~46年のジャガイモ飢饉の際に、アイルランド北西部、メイヨー県のバリナからアメリカに渡った移民だという。
実はバリナと、バイデン氏が生まれたペンシルバニアのスクラントンは姉妹都市になっていて、テレビで連日報道されている。そのバリナに2016年に創業したのが、コノート蒸留所で、ここは古いパン工場を改造してオープンしたクラフト蒸留所である。創業者は3人のアメリカ人と1人のアイルランド人で、そのうちの1人、ロバート・カッシェル氏はペンシルバニアのフィラデルフィアの出身。同地のクラフト蒸留所で修業を積んでいたという。
コノートのワンバッチの仕込みは麦芽400~450㎏と極小サイズ。発酵槽はステンレス製で現在は3基。スチルはカナダのブリティッシュコロンビア製で、初留・後留・再留の3基が稼働する。造っているのは3回蒸留のモルトウイスキーとジン、ウォッカ、そしてポチーンなどだが、将来的にはポットスチルウイスキーも造るという。
立派なビジターセンターが併設されていて、そこではコノートの製品が飲めるカウンターバーもある。ポチーンはアイリッシュ“伝統”の密造酒で(現在は合法)、樽熟させていないのが特徴だ。これはストローボーイと名付けられているが、もう1つ興味深いのが、ブラザーシップ、兄弟、同邦と名付けられた10年物のウイスキー。なんとアイリッシュシングルモルトと、アメリカンのライウイスキーをブレンドしているという。しかもラベルに描かれているのは、当時バリナからアメリカのフィラデルフィアまで移民を運んだ帆船なのだという。
今回の大統領選には直接関係ないが、ジョー・バイデン氏の祖先が乗ったのが、この船だったとするなら、一番喜んでいるのは、コノートのロバートさんたちかも知れない。
コノート蒸留所の外観と、コノートのボトルたち。 一覧ページに戻る