2020-10-19
アメリカン【0006夜】ジョージ・ワシントンとウイスキー
アメリカの第3代大統領トーマス・ジェファーソンとワインの関係については触れたが(0004)、ウイスキーとの関係でいえば、初代大統領のジョージ・ワシントンである。
アメリカの東部13州(植民地)が本国イギリスに対して反旗を翻したのは1775年で、翌76年に「独立宣言」を採択したことは、よく知られている。それを起草したのはジェファーソンだったが、独立のための闘いを指揮したのはヴァージニア州出身のジョージ・ワシントンだった。その闘いは苦難の連続だったが、やがて勝利し1789年にワシントンは初代大統領に就任している。アメリカの大統領は任期4年で、2期までと決められたのはこの時で、ワシントンもその規定どおり2期8年務めて1797年にリタイアしている。
もともとワシントン家はヴァージニアのマウントバーノンに広大な農地を持つ裕福な家系で、リタイア後、大統領は故郷の農園にもどり家業に専念。その時、新しく雇い入れたスコットランド人の農園管理者のアドバイスに従って、領地内に本格的なウイスキー蒸留所をつくっている。領地で穫れる大麦やライ麦を有効利用したもので、当時としては最大級のポットスチル5基を擁する本格的蒸留所だった。ただし、この蒸留所は創業10年足らずで火災に遭い消失している。
200年近くその所在がわからなかったが蒸留所の本格的な発掘調査が始まったのが2000年頃からで、現在は場所も判明し、その跡地にジョージ・ワシントンの蒸留所が復元され、マウントバーノンの観光目玉の1つとなっている。ワシントン時代と同じ、薪による直火蒸留で、ごく少量ではあるが毎年、当時のレシピどおりにワシントンのウイスキーが造られているのだ。これはライ麦を主体とした今日でいうライウイスキーで、ワシントンの肖像画がラベルに使われたボトルは、マウントバーンの売店で人気の商品となっているという。
現在はアンエイジド、2年熟成、4年超熟成のボトルを販売。 一覧ページに戻る